インフラの3次元モデルなどの世界的企業ベントレー・システムズ(本社・米国)の日本法人(法人名同じ、東京都豊島区)を「リージョナルディレクター」として率いるアナトリー・アスト氏。
昨年11月に開いたユーザーや代理店の年次総会「リージョナルセミナー2025」で、「ソビエト連邦時代のロシアに生まれ、フランスとアメリカで育った。日本の漢字、古文などにひかれ、大学と大学院で源氏物語など古典文学を専攻した」と自己紹介した。
日本の古典文学とインフラ最前線。改めて日本語でインタビューした。

漢字は美しく 効率的
――なぜ日本の古典文学に関心を持ったのか。
アナトリー・アスト氏(以下アナトリー):漢字の美しさにひかれ、日本の芸術や歴史に興味を持つようになった。習字も筆を持って学習した。
――漢字は中国からの伝来だが。
アナトリー:子どもの頃にプレイステーションで遊んだ。ゲーム機が入っていた箱の「日本製」という説明が、漢字との出会いだった。なんて美しい形の文字なのだろうと。自然と日本に関心を持った。
漢字は美しい上に、効率的だ。記号のアルファベットを組み合わせるのと違って、例えば「犬」という漢字1つにその意味が込められている。
――日本に関するテーマは数多いが、古典文学を専攻した理由は?
アナトリー:昔の人が何を考えていたか、知りたかった。
――どこに興味を?
アナトリー:例えば和歌は直接的ではない表現方法によって、そこに込められた隠れた意味を伝える。恋人同士が歌で想いを伝え合う場合、「夕顔」といった花に気持ちを託したりする。その2人にしか、意味が分からない。日本ならではの美の世界だ。
そのエッセンスは源氏物語にあると考えて卒論のテーマに選び、英文と日本文で書いた。
日本の古典文学 就職難しく
――日本の古典文学を専攻しながら、今の仕事は技術の最先端分野だ。
アナトリー:元々、新しいことを学ぶことが好きだ。大学卒業後は家業であるベルギーチョコに関わる仕事に就いたが、満足できなかった。
日本の古典文学に関連する世界で仕事をすることを望んで、コロンビア大学の大学院で博士号を取得しようと考えていたが、当時住んでいたニューヨークの物価高や、学位取得後の教授職ポジションの少なさを考えたら、別の仕事を探すのが賢明だとの結論になった。
橋梁向けソフトウェア
ベントレー・システムズによると、同社の橋梁設計ソフトウェアは既存・新設の両構造物について、あらゆる種類の橋梁の複雑なモデリング、設計、解析に対応する。
計画、設計、エンジニアリングから建設シミュレーション、解析に至るまで、プロジェクトのすべての段階に対応。3Dモデリング、設計、解析ソフトウェアを提供し、現場から完了までプロジェクトの効率的な推進を支援するという。
橋梁向けのうちOpen Bridge Modeler(写真下、同社提供)は、設計とモデリング、施工順序の調査、プロジェクトの変更管理、道路形状と地形の組み込みを行う。
多分野のデータを1つのモデルに組み込むため、設計やプロジェクト成果物の作成を効率的に行え、関係者間の連携も容易。次の効果がある。
①3Dモデルの作成=現場での作業が最適化される工程や手法を計画。橋梁のライフサイクル全体を通じて使用できる物理・解析モデルを作成することでエラーを減らし、リスクを低減。
②コストと変更の削減=関係者データを再利用し、1つのモデル内に最新の形状と調査情報を反映。地形、道路、関連インフラの設計を最適化。構造や物体、地下設備との干渉チェックを使用し、建設開始前に問題を排除。
③3Dモデルの可視化=リアルなビジュアル作成で計意図を表現し、プロジェクトのメリットをアピール。変更、関係者からのフィードバックを簡単に設計に反映。干渉チェックにより、課題の発生前に特定。

