ベントレー・システムズ(本社・米国)日本法人(法人名同じ、東京都豊島区)の「リージョナルディレクター」アナトリー・アスト氏に、日本語でインタビューしてきた。源氏物語を英文と日本文で論じた学生時代。そしてインフラの3次元モデルなどを扱う現在。異色の歩みを聞いた最後に、「インフラと古典文学の共通点」が話題に上った。
文化のレガシー 技術のレガシー
――日本で仕事をして、道路インフラについて、現状の課題と解決策は?
アナトリー・アスト氏 インフラの設計・維持・管理が未だに2Dデータ中心に行われている。
――それに対し、ベントレーは何ができるか。
アナトリー: ベントレーがグローバルで展開している製品を日本に持ってくるだけでは、お客様や市場が抱えている課題は解決できないと考える。日本のお客様の現状とニーズを把握し、それに合った解決策を提案することが不可欠だ。
しかも、それをベントレー単体ではなく、パートナーとの協力体制を活用しながら行いたい。
今後は3Dデータを使ったインフラのライフサイクル全体の管理がスタンダードになると予想される。それはベントレーがずっと提唱し続けてきた。卓越した3D技術に加え、様々なソフトウェアとのオープン性を備えていることが、ベントレーが優れる点だ。
――オープン性とは?
アナトリー: 他社製品や他システムとつながる前提で設計されたソフトウェアだ。オープン性により、異なるソフトウェアベンダーのソフトやシステム間でデータ連携と相互運用が可能になる。
その結果、現在使っているソフトウェアを維持しながら、ベントレーのソフトも併用できる。
また、買収したCesium(連載「中」参照)との連携も、我々が出来ることをより強力にしている。
――日本でのビジネスで大切にしたいことは?
アナトリー: クライアントのニーズを把握し、成功を実現することが一番の役割。そうした対応が、ベントレーのコアスキルだ。
日本語と英語を理解し、両言語のニュアンスの細かい違いにも配慮できるので、業務上で日・英のコミュニケーションを円滑にする手助けになる。
――いま思うことは?
アナトリー: インフラと古典文学には、共通点がある。
古代の人は、当時の生活様式や物語、和歌などを記録として後世に継承するため、源氏物語のような絵巻物を作ることに努めた。文化のレガシー(伝承)だ。
インフラには、技術のレガシーという面がある。過去の技術が築いた現在のインフラを、さらに現在の技術で発展させ、未来に引き継ぐ。技術のレガシーの舞台が、インフラだ。
道路向けソフトウェア
ベントレーの道路インフラ向けソフトウェアが、OpenRoads Designerだ。キャッチフレーズは、「エンド・ツー・エンド(端から端まで)」。測量から道路設計まで、様々な機能を1つのアプリケーションで提供する。
特徴は、次の2点だ。
①組織やシステムのサイロ化(分断)を解消
既存の現況データの統合から他のプロジェクトパートナーとの協働まで、異なるデータ型、分野、分散型チームでの作業が容易になる。
②詳細設計ツール完備
詳細設計に必要なツールすべてを1つのアプリで提供し、高速道路の設計時間を短縮。実物のデータから開始し、リアリティデータと設計情報をシームレスに統合することで、実際のコンテキストを正確に反映する3Dデザインを作成できる。

