ジビル調査設計 リージョナル・セミナーで講演
リージョナル・セミナーでは、ベントレー・システムズ製品のユーザー・ジビル調査設計(福井市、中島正夫社長)の南出重克理事(北陸事業所長)が「iTwinと創り上げるこれからの建設業界~新4K産業実現への想い~」と題して講演した。

(要旨)
▽当社の業務では、小型橋梁の点検と補修設計も多い。
▽小型橋梁とは、溝橋(ボックスカルバート)・床版橋・桁橋(橋長50m未満)を指す。国内約72万橋梁の94%(約68万橋)を占め、その多くを自治体が管理している。
▽小型橋梁の維持管理には問題点が多い。
①維持管理に当たる自治体職員にとっては
・橋梁数が多いため、対応に時間がかかる
・損傷図と写真では、橋梁の健全性把握に限界がある
②点検に当たる建設コンサルタントにとっては
・劣悪で危険な作業環境
・桁下空間が多く、目視点検が困難
・データの取得が困難で、不正確
③補修工事に当たる業者にとっては
・図面の精度が悪く、発注と出来高の数量誤差が大きい
▽①~③の間ではデータの連携が不足し、現場作業や資料作成が繰り返し行われる。また全体的に、人手 不足や現場作業の非効率という問題がある。
▽まとめると、以下の状況だ。
①肉体的負担が大きい⇒危険で、人材不足につながる
②データが不正確⇒手戻り・長時間労働
③データの連携不足⇒生産性悪化・コスト高
▽そこで、当社は独自の技術開発に取り組んだ。目的は、点検・補修設計・工事を含めた維持管理全体の効率化を図ること。安全性確保、データの正確性確保、データ連携の向上――の3点を目標にした。
工期30~50%短縮 コスト20%削減
▽ここでは、マルチカメラシステム(MCS)を紹介する。複数のカメラとLED照明を搭載し、遠隔操作が可能な自走式ロボット撮影装置だ。
従来の撮影は、作業空間が狭かったりして、危険で肉体的にきつかった上、点検漏れや写真ミスの発生もあった。ロボット撮影により、作業員の肉体的負担を軽減し、写真ミスを防止できる。
その撮影データから、ベントレー・システムズの製品であるiTwinで橋梁全体の3Dモデルを作成。それを施工前工程(点検・診断・補修設計・協議)で活用し、効率化を図っている。
さらに、施工後の3Dデータも取得し、維持管理にも活用できる。点検・設計から施工・維持管理へのデータ連携が可能になった。
▽これにより、工期を30~50%短縮し、コストを20%削減する効果があった。
▽マンパワーからロボットへ、3Dモデル化、データ連携により、3K(きつい・危険・汚い)から脱却し、新4K(希望・休暇・給料・かっこいい)へ挑戦したい。

写真上は、従来手法。危険で肉体的にきつく、点検漏れや写真ミスも発生した。写真下は、ジビル調査設計のロボット撮影装置。安全空間で無理のない作業が行え、肉体的負担を軽減。橋梁全体の画像を取得することで、ミスの発生を防止できる(南出理事が講演で紹介した画面から)。
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